05. Talking about a coffee shop

https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-33948-1

日本中の喫茶店を取材されている川口葉子さんの本で
喫茶店の店主、「喫茶人」の言葉がたくさん載っています

都内某所に、私のお気に入りの喫茶店があります
そのお店に出会ったのは小さなPOPを作らせていただいた
街ぶら雑誌に掲載されていたのがきっかけでした
その喫茶店が、特別大切な場所になった日があります
休日の夕方、用事の帰り、一人でカウンターに座って
その日はたしか珈琲とプリンを頼みました

その頃、会社で慣れない大きな仕事を任されていて
体力的にも精神的にも張り詰めた日々を過ごしていました
ノートとペンを取り出して
自分がどのようになるために、何を努力するか
などを考え書き記していたように思います
結果的に、求められている能力と実力との差に打ちのめされつつも
やれるようになりたいことはやりきる。と決めました

職場の自分、家族の前の自分、そして一人の時の自分
当時は前者が日々を占めすぎて、家族へ向ける顔や本心はどこへやら…
とてもバランスが取れていたとは言えません
目の前の夢や目標はあるけれど
もっと家族や自分を大切にしていきたい気持ちもあったので、
目標までの期限も決めました

帰り道は清々しい気持ちだったのを覚えています

俗世から離れ、周囲の視線から守られながら
何者でもない「私」に戻る瞬間、
そしてゆっくりと考えをまとめる時間が日常の中には必要です
多分、私は泣いていたけれど
店員さんや珈琲の味、あの空間は当たり前にいつも通りで
またつまづいたらここに帰ればいいんだと
思わせてくれた大切な場所になりました

表2カバーにもある一節を引用しますが
“はぐれているやつには喫茶店が必要なんだよ”
という一文が本当に大好きです
土地に根付いて、それでいてなにげなくお客さんをお迎えする
そんな数々の素敵な喫茶店哲学が、たくさん紹介されている一冊です